笑っている場合じゃない?!『フレンチアルプスで起きたこと』はコメディなのか?

先日、我らがファンダンゴ編集長の桑江さんから

「『フレンチアルプスで起きたこと』木村ちゃんが観ると面白そうだけどね〜」

というお言葉を頂き、木村ちゃんって呼ばれていることに至福を感じたということがありました(そこじゃないでしょ)。

『フレンチアルプスで起きたこと』

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(画像1:出典元 公式HPより http://www.magichour.co.jp/turist/ )

タイトルだけは聞いたことあったけど…という感じでしたので早速、予告を観てみることに。

*ストーリー*

フランスのスキーリゾート地にスウェーデン人一家がバカンスにやって来る。山際のテラスで昼ご飯を食べていると、突如ごう音が鳴り響き目の前の斜面で雪崩が発生。

大事には至らず家族は無事だったが、夫トマス(ヨハネス・バー・クンケ)が取った行動により頼れる理想のパパ像は崩れ去り、妻と子供たちの反感を買い家族はバラバラなってしまう。

(シネマトゥデイより http://www.cinematoday.jp/movie/T0020102 

こ、これは・・・!(期待値爆発)と思い、本編を鑑賞。(すでにDVDレンタル化されています

観終わっての素直な印象としては…

 

(ごめんなさい、こんな時)どういう顔をすればいいのかわからないの

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(画像2:出典元 http://www.evangelion.co.jp/1_0/exposition.html )

と、ヤシマ作戦の時の綾波レイちゃんの気持ちとリンクした感情が湧き上がってきました(分かりづらい)

◆笑えない状況を観ているハズなのに、何故か笑いが込み上がってくる本作

ストーリーを読む限り、全く笑えないですよね。寧ろ笑ったら失礼だろ、と。

言ってしまうと夫トマスは雪崩が押し寄せて来たときに家族を残して一目散に逃げ出すのですが、その行動をしつこく責め続ける妻の言動やそんな夫婦の姿に感化(?)されてケンカしてしまうカップルの姿など、何だかバカバカしくって笑えてきます。

一部ではこの作品を(シニカルな)コメディと評しているところも。ですが、もし自分が雪崩に巻き込まれそうになった家族の一員だったら…そして夫(もしくは父)が私を残して逃げ出すような人だと知ってしまったら。と考えると笑えないよなぁ…と複雑な気持ちに。(なので、前述した綾波レイ状態に陥ったワケです。)

笑いというのは時に風刺的な役割を担うことがありますよね。本作でも似たような使い方をされていて、家族の関係性や人間の本質的な部分に切り込んでいる印象を受けました。

そして、「笑ってしまう」のはどこか自分に身近に感じられるからこそ。本作の持つ“リアリティ”ある描写が、この笑いを生んでいる気がします。

◆家族描写のリアリティ

登場人物、各々の表情やセリフ回しはもちろんですが、子供が寝ている時の呼吸の仕方や感情的にならないよう努める “大人のケンカ”描写など…こういうことあるある!と共感して、ふいに笑ってしまうリアリティ溢れる家族の描写は必見です。

個人的には、家族が歯を磨いているシーンでの妻、エバの表情が完全にOFF顏すぎて笑えましたwww

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(画像3:出典元 公式HPより http://www.magichour.co.jp/turist/introduction/ )

ちなみに上の写真はONの顔ですね(*^_^*)←

◆家族たちが訪れる、スキーリゾート地という舞台

本作では雪崩に巻き込まれそうになること以外にも不幸な状況が家族たちを襲います。こんなに不幸が重なるのか!?とツッコミたくなるのですが、スキーリゾート地という場所が舞台だからこそ「もしかしたらありえるかも」という気を起こさせてくれます。

また引きの画面づくりで雪山をバックに人間が小さく撮られているショットは、心の中がいっぱいいっぱいの人間と、広大な風景の存在が対比されているよう。

純白な雪山の存在は人間のチッポケさを浮き彫りにしていて、本作のシニカルな笑いを生み出す上で欠かせない存在であることが分かります。

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(画像4:出典元 公式HPより http://www.magichour.co.jp/turist/theater/ )

◆あなたは誰の視点で本作を観ますか?

夫、妻、子供…だれ側の視点で観るかによって捉え方が違ってくると思われる本作。

わたくし木村は結婚もしてないし、兄弟もいないしという感じだったので完全に第三者の視点で観ていました。「大変そうだなぁwww」と、終始、他人事でしたね…故に、ゴシップを見ているようで面白かったというのもあるかも)

ですがあえていえば、親の雰囲気に影響される子供たちの態度は昔の自分を見ているかのようで共感できました。場の空気を良くするために子供の機嫌をうかがう親の態度にムカついたりしていたなぁ…とか。

親は子供のことを思っていると言いつつも、結局自分がこれまでしてきた(子育てや仕事)の結果や自分のプライドを大切にしている部分があるよなぁ…などなど。(もちろん、歳を重ねるにつれて親の気持ちも少しずつ分かってきたりはしているんですけどね!)

きっと、子を持つ親御さんたちが観たら思うことも違うだろうし、妻目線、夫目線、女目線、男目線。皆、一人一人が違った感想を抱く作品だと思います。

また、ラストシーンも非常に印象的です!

始まりがあって終わりがあるのが物語ですが、本作のラストは、 “続きがある”終わり方。本作の家族の今後、“続き”を考えさせてくれるラストになっています。5日間のスキーリゾートを終えた後の家族がどうなっていくのか。観終わったあとに想像を膨らませるのもアリです!

 

書いた人:木村 桃子

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1996年東京生まれ。日本大学 藝術学部 映画学科にて映画を学ぶ19歳。

主に映画理論や批評分野を専攻しながら、将来は“新しい映画の見方”の発掘を夢みる。作品分析の他にも、上映環境と作品の関係性についてなど日々考えを張り巡らせている。

趣味はアニメ鑑賞と映画祭巡り。三枚目キャラが際立っているアニメは大体すき。せっせと円盤を集めながら、都内を飛び出した各地の映画祭にも足を運んでいる。ただいま大学の友人と、映画史における重要作品のファンアート展示・企画展を計画、作品製作中。

「木村ちゃんって呼ばれると何だかとっても嬉しいです!」

木村桃子twitterアカウント

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