『アフガン・レポート』は地雷を踏んだらサヨウナラ… ではなくその続きが超過酷

戦争は世界中未だに絶えませんで、人類の歴史そのものといえます。そんな戦争を題材にした映画も毎年数多く作られておりますね。戦争ではありませんが戦車を題材にしたアニメーション作品もヒットしました。

その戦争モノの中でもまた特殊な状況を作りやすい”地雷”(ダメ映画のことじゃないよ)を扱った映画も多々存在します。近年だと2014年製作のフランス映画トラップがあります。

▲地雷を踏んでしまった兵士がひたすら立ち往生。ワンシチュエーション作品ともいえましょう

▲戦争モノではないですが地雷がでる映画ということで『デッド・オア・リベンジ』。話のネタになる怪作!

そんな地雷を題材にした作品として一部で話題を呼んだ作品が今回紹介する『アフガン・レポート』です。

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2014年にイギリス・ヨルダン合作で製作された本作は日本では劇場未公開。WOWOWで先行放映され、2016年6月に遂にDVDがレンタル開始。まだ未鑑賞の人も多いと思うので、地雷原回避のため本作をレポート致します。

◆地雷を踏んで爆発してからが本番!ミイラ取りがミイラになるとは正にこのこと

▼本作のあらすじ

2001年9月11日に起きた同時多発テロ事件を受けて、アメリカ主導の下に始まった対テロ戦争にイギリスも参加。タリバン勢力を掃討すべく、アフガニスタンにも多くの若者が派兵されることに。

2006年9月5日。同地の村カジャキに駐留していたイギリス部隊の兵士のひとり、スチューは、移動パトロール中、地雷を踏んで右足を失うはめに。さらには、彼の救出に駆けつけたほかの仲間たちも、次々と地雷に触れて重傷を負い…(WOWOWより抜粋)

本作は敵であるアフガン兵はほぼ登場しません。描かれるのは地雷原にはまったイギリス軍の兵士たちのみ。地雷の被害にあった一兵士を助けるべく駆けつけた兵士たちも次々と地雷にはまっていく地獄絵図を描く。

冒頭で話題にあげた『トラップ』での地雷は「踏んで足を外したら爆発する」タイプの地雷ですが、こちらの地雷は「踏んだら即アウト」な地雷。そして地雷って意外に即死はせず、下半身が主にやられるから逆に恐ろしい(これでジワジワ死にたくねぇ…)。

この映画の主な進行としては

①一兵士が地雷を踏む → 爆発する → いてえ助けて

②大丈夫か待ってろと友情に熱い兵士が助けに向かう → 手当てをする → 一安心する → やっぱり爆発する

③最後の砦、頼れる兵士が向かう → 危ないので超慎重に向かう → やっぱり爆発する

という地獄のようなループを繰り返します。仲間を見捨てない精神は素晴らしいですがかなりミイラ取りがミイラになっております。これが実話だってんだから恐ろしい…

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▲途中助けにくる救護ヘリが全く役立たず!こいつの風圧のせいで地雷もいくつか爆発する大惨事に

◆何だか妙に小綺麗な感じもするが緊迫感は凄いぞ!

この映画、めちゃくちゃ暑いアフガンを舞台としてるし男だらけの汗臭い映画なイメージを持つと思いますが、イギリス映画なせいなのか妙に小綺麗な印象を受けます。『ローン・サバイバー』とかめちゃくちゃ泥臭かった気もしますが…

兵士たちはそこまで暑そうに見えないし、地雷にやられた兵士たちも痛そうにするものの(やられた部分はかなりえエグいですが)結構涼しい顔してます。実際そうなのだろうか?と思いますがいやいや絶対もっと痛いでしょ足吹っ飛んでるし。あと意外に人が死にません。

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▲緊張のあまり予告編の字幕担当者も誤植するレベル!

序盤は兵士たちの日常がゆるーく流れますが(意外と長め)中盤以降の緊張感は凄まじい。一難去って安堵してはまた一難と息つく暇を与えません。敵は地雷よりもどちらかというと役に立たない救護班かも(駆けつけるのがひたすら遅い)?

ワンシチュエーションモノとして出落ちで終わらず、最後まで一気に見せてくれます。『アフガン・レポート』は地雷映画のひとつのスタンダードを作り上げたのではないでしょうか。

監督のP・ケイティスは本作が長編デビュー作とのこと。ワンシチュエーションモノは監督の力量が試されるといいますがかなり良い仕事していると思います。今後が楽しみ!

◆チェルノブイリもだけどアフガンにも行きたくねえ

戦争映画が古今東西多く作られているなか今まで描かれなかった視点での映画も多くなり、その視点も多様化しております。無人戦闘機からの視点でみた戦場にいない戦争映画『ドローン・オブ・ウォー』のような21世紀型の戦争も正に時代でしょう。

映画のネタとして戦争が取り上げ続けられるのは複雑な気もしますが、取り上げられることで多くの人たちにその現実を知ってもらうのはとても重要なこと。世の映画人たちには心に響く良作を作り続けて欲しいものです。

この『アフガン・レポート』は「戦争、絶対ダメ!」というより「こんなところ絶対行きたくねえ!」という感想の方が強いです。いや冗談でなく本当に。とにかく戦争には行きたくないと再確認してしまう佳作。

 

最後に、本作をお勧めしてくれた母に感謝します(WOWOWで偶然観たらしい)。というか劇場でやってくれよ!

 

書いた人:桑江 良輔

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エンタメ系IT企業を退社した後にBar店長に転身。本業とは別にクラブを使った映画サントラDJパーティーの開催や映画トークイベント、野外映画フェスにトーク出演等の 映画関連イベントに多く関わる。

2013年には立川シネマシティにて世界初の「パシフィック・リム絶叫上映会」を個人で企画。発売日即日完売と大反響を呼びその影響は全国に飛び火した。

高級炊飯器を買おうか悩むも最近またBlu-rayディスクを集めだしたので手に入るのはいつになるやら。通称“店主”。沖縄はコザ出身。しかしあまり沖縄に詳しくないので最近勉強中。

桑江良輔Twitterアカウント

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