ヒッチコックと 10 人の現代監督が贈る、映画作りの種あかし

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▲新宿・シネマカリテにて著者撮影
10 月の東京国際映画祭にてトリュフォー監督作品『暗くなるまでこの恋を』・ヒ ッチコック監督作品『サイコ』が特別上映されました。12 月公開のケント・ジョーンズ監督作品『ヒッチコック/トリュフォーによ せたイベントで、『サイコ』上映前にはジョーンズ監督が舞台挨拶に立っていま す。

映画『ヒッチコック/トリュフォー』はトリュフォーがヒッチコックに行った ロングインタビューをもとに、現代に活躍する 10 人の映画監督たちの声をおり まぜながら、ヒッチコックの映画作りに迫るドキュメンタリー作品。

トリュフォーとジョーンズ監督が伝えたかったヒッチコックの魅力とは、一体 どんなものなのでしょうか。

◆トリュフォーが伝えたかったのは“ヒッチコックはすごいんだ”ということ

トリュフォーがヒッチコックにインタビューを行ったのは 1962 年。 当時アメリカで活躍していたヒッチコックはすでに 60 歳を超えており、社会現象さえ巻き起こした『サイコ』を含む数多くのヒット作によりその名を知られ ていました。

しかし映画がヒットしても、批評家たちの間でヒッチコックはあくまでも“大衆作家”。大衆には受けても芸術としてはなっていない、むしろくだらないからこそ大衆に受けている…と考えられていたのです。

ヒッチコックへのそうした評価に異を唱えたのが、当時 30 歳のトリュフォー。 母国フランスで注目を集める新鋭監督だったトリュフォーは、ヒッチコックを「世界中で最も偉大な監督」と尊敬していました。

監督としてヒッチコックがどんなに優れているかを世間に伝えたいという思いから、トリュフォーはヒッチコックにインタビューを申し入れます。トリュフォーの気持ちに感激したヒッチコックは申し入れを快諾。50 時間に及ぶインタビューで自身の映画術を惜しげもなく公開しました。

その後トリュフォーはインタビュー内容を 1 冊の本にまとめ出版します。 この本、『定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー』によってヒッチコックの評価は見直され、また多くの監督がその映画作りに影響を受けたと言われてい ます。

◆ジョーンズ監督が伝えたかったことは“映画に古いも新しいもない”ということ

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©︎TIFF2016

▲東京国際映画祭にて著者撮影

トリュフォーの『映画術』の出版目的を見ると、その本を原案とする『ヒッチコック/トリュフォー』も、ヒッチコックの素晴らしさを伝えるため映画だと思われるかもしれません。

しかしメガホンをとったジョーンズ監督は、この映画は単なる『映画術』のビジュアル化ではないと説明し、トリュフォーとは別の目的でヒッチコックの映画作りを題材にしていることを明かしています。

本作には『映画術』に影響を受けた10人の現代監督へのインタビューがとりあげられていますが、監督の選出についてジョーンズ監督は次のように説明して います。

「ヒッチコックを愛している」ということだけでなく、「映画作りとは何か?」 ということについて語れる人が必要でした。(パンフレットより引用)

そう、ジョーンズ監督が本作で焦点を当てているのはヒッチコックではなく、映画そのものだったのです。

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ヒッチコックが彼以降の映画に与えた影響を紐解くことで、どんな監督も誰かに影響を受けている、映画作りはすべて脈々とつながっている、だから映画に古いも新しいもないと伝えています。

この映画は古い時代の古い映画監督の話をしているわけではなく、脈々とつ ながる映画文化の話を描いています。(パンフレットより引用)

 

◆まとめ

東京国際映画祭の舞台挨拶で、ジョーンズ監督はヒッチコック最大のヒット作 である『サイコ』が与えた影響として、ブライアン・デ・パルマ監督の作品『殺しのドレス』、ガス・ヴァン・サント監督による工夫されたリメイク作品を取り上げました。

また『サイコ』と同日に上映されたトリュフォー監督作品『暗くなるまでこの 恋を』は、ヒッチコック作品『めまい』をはじめ数多くの映画のパロディ・引用がちりばめられています。

10月に観た時には気づきませんでしたが、12 月に『ヒッチコック/トリュ フォー』を観て、“映画作りはつながっている”と感じさせてくれる 2 作だっ たのだなと思いました。

 

書いた人:かぼちゃ

kabocha

以前はあまり観なかったのですが、30近くなった頃から映画館へ行くようになりました。
洋画・邦画どちらも観ます。一番好きなのはサスペンス。
映画には全く詳しくありませんが、記事やレビューを素人目線で書いています。

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