何度でも観たくなる!?決して読み解けないパズル映画『哭声/コクソン』※多少のネタバレあり

気がつけば私がファンダンゴで記事を執筆して一年が経っていた。文章を書くことがしたいなあと思って、メールで会ったこともなかった編集長に頼み込み今に至ります。玉澤です。おかげさまでなんとか毎月好きなことについて書けています。ありがとうございます。

どうぞこれからもファンダンゴ並びに玉澤をよろしくお願いします。

という私事は置いていて。自分にとって節目となる今回は絶賛公開中の韓国映画、ナ・ホンジン監督の『哭声/コクソン』を紹介します。

公式ページ:http://kokuson.com/

 

◆簡単なあらすじ

平和な村で突然、異常な殺人事件が次々と起きます。警察が調べると、どうも最近やってきた日本人がやってきてから起こっているらしい。厄介払いをしようと日本人を追い詰めるととんでもない目に遭うというようなお話です。

「疑え。惑わされるな。」とポスターにあるように、この映画は全ての出来事が次のシーンではひっくり返るという嫌がらせのオンパレードになっています。どういうことかというと「ABである」と最初のシーンで言っていたのに「BAである」とすり替えられるのだ。ずっとこの繰り返し。

頭の中をミキサーで引っ掻き回されるとでもいうのか、とにかく考え続けないとこの映画のスピードについていけない。私自身、まだこの作品の解釈に悩んでいるところはありますが、ただひとつ言えるのは“信じるものは救われる”ということ。

難解パズルのようなこの映画からそれを感じ取ったことについて書いていきます。

①怪しい日本人國村隼は一体何者?

全編通してほぼ喋らない日本人役の國村隼(以下國村隼で書いていきます)。常にジトッとしたような目つきでこちらを見ていているわ、山ん中ふんどし一丁で鹿を食ったりで怪しさ全開です。

こいつ一体何やねんと誰しもが思うことでしょう。あんたは一体誰なんや。実は神様ではないのか?私はそう思います。

劇中、警察から「何しに来た」と聞かれ、國村隼は「言ってもわからんさ」とはぐらかします。この時点で怪しさマックスです。もっとなんか上手いウソあるやろ!と思わずにはいられません。

その上、國村隼が村に来てからというもの人間の数は減っています。まるで地上にいる増えすぎた人間を間引くかのように。おそらく、人間がたくさんいては世界の秩序が保たれないので見境なく、それこそ釣りにかかった魚のように消していっているのではないでしょうか。

いい神様か悪い神様かは置いといて、私たち人間が簡単に触れてはいけない類のものだったのです。

②怪しげな祈祷師は國村隼の使い魔だった?

主人公の娘が殺人を犯した村人たちと同じ奇病にかかった時、救いを求めるのがこの祈祷師です。なんというか、人間って科学の力に頼れなくなった時は宗教やオカルトに走るものなのだと実感します。

▲胡散臭い祈祷師をファン・ジョンミンが怪演。ジョンミンさん、ここのところ出ずっぱりで凄いです

私は両親がペットが病気で息を引き取った際、念仏を一生懸命唱えていたのを思い出します。多分これは実際にその立場になってみないと理解できない部分があるかもしれません。

祈祷師は実際にお祓いをしてくれますが、なぜか娘がどんどん弱っていきます。あれ?國村隼をやっつけるんじゃないの?と疑問を持たざるをえない。映画評論家の町山智浩さんも言っていましたが、この祈祷師、國村隼とお揃いのふんどしを履いてます。ふんどしフレンズです!

このことから國村隼とは何らかの繋がりがあるとみて間違いないでしょう。

③何もせず見守るだけの白い服の女

劇中、主人公や國村隼の前に現れる意味深な女。

とにかくこれ以上、誰も被害が出ないようにと行く先々走り回っています。彼女は村の神のような存在で國村隼から村人を守っていたんだと思います。だからこそ、主人公の前に現れては手助けをしようとし助言をします。神様は直接、手を下せないので國村隼は祈祷師を、女は主人公を選び行く末を見守ることにします。

……実は使い魔バトル映画だったのでは?書いててそう思い始めている私がいます。んなアホな。

④神々の争いに巻き込まれた主人公

何にも信じられず、目の前のことをひたすら疑い続けた主人公は最後悲しい結末が待っていたわけですが、神々の争いに巻き込まれた被害者のひとりです。

本作が初主演のクァク・ドウォン。現在公開中の『アシュラ』でも憎たらしい検事役を好演しております。

気がつけば、神の気まぐれで娘を不幸にされ、信じるべき神を間違え、神の怒りで家族は死に追いやられてしまう。誰かひとりの神をきちんと信じていれば、もっと違った結末になったのかもしれません。

家族を守ろうと立ち向かっていった姿はもちろん素敵ですが、何かひとつ信じられるものがあれば、私たちにとって物事は良い方向に進むのではないでしょうか。本作は宗教があまり身近ではない私たちに宗教、神の強さについて教えてくれた気がします。とにかく、人間の手には負えない。

久々に頭をフル回転させながら観たと思います。実はその前にパク・チャヌク監督の『お嬢さん』を観てハッピー変態映画やとテンション上がったのはまた別のお話。

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by 玉澤千歩

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