邦画嫌いこそ観るべき!2015年の木村的ベスト邦画『さようなら』

あっという間に2015年も終わり2016年もスタート。今年は遂に20代突入か…と頭を抱えている木村です。

さて、先日『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が公開されました。他にも2015年は『ジュラシック・パーク』や『マッドマックス』、『007/スペクター』等々シリーズモノの洋画が話題になった印象がありました。

そんな中で、皆さん、2015年に邦画は見ましたか?

洋画に比べ邦画が下火になっているのは確か。しかし、そこに現れたのが

深田晃司監督の『さようなら』です。

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出典元:http://sayonara-movie.com/

2015年の1121日に公開された作品ですが、2015年の下半期にして現れた邦画の救世主『さようなら』についてお話しします。

放射能に侵された近未来の日本。各国と提携して敷かれた計画的避難体制のもと国民は、国外へと次々と避難していく。その光景をよそに、避難優先順位下位の為に取り残された外国人の難民、ターニャ。

そして幼いころから病弱な彼女をサポートするアンドロイドのレオナ。やがて、ほとんどの人々が消えていく中、遂にターニャはレオナに見守られながら最期の時を迎えることになる。(公式HPより)

◆『さようなら』のここを見ろ!

 

①本物のアンドロイドが演技に挑戦!

洋画でロボットモノは沢山観てきました。しかし“そこに存在”し、まるで人間のように演じる本物のアンドロイドが登場する作品は、未だかつて観たことがありません!

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公式HPのキャスト紹介ページ。こんな紹介ページ初めて見た!

舞台は近未来。アンドロイドと人間の生の掛け合いはハリウッド映画とは違う、邦画独特の空気が画面から滲み出ています。ロボットと人の共存に、これほどまでにリアリティがあるのか、と驚嘆するはずです。

 

②“静けさ”を感じる。

本作は沈黙や静寂が流れるシーンの多さが印象的です。

しかもカットを割らず、長回しでその静けさが映し出されています。「え?何?」という感じに、本当に不安になります。

不安になるから、「どうしてこんなに静かなのだろう…」と考えます。また、静けさのなかで微かに聞こえる“音”の存在感も外せない。

近未来の日本のお話で、アンドロイドが出てきて…字面だけ見ればスペクタクル感満載ですが、実はその逆。日常を感じさせるこの静けさは、私たちに何を伝えたいのでしょうか。

 

③極端に少ないクロースアップの使用

人の顔をアップで映し出す手法であるクロースアップ。本作はそれがほぼ皆無

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出典元:http://sayonara-movie.com/

クロースアップは映した人の心情を大いに訴える働きがありますが、それがない。つまり、登場する人物に感情移入が全くできないのです!でもその代わり、登場人物たちをより客観視できます。

つまり、近未来の国民を客観視できるのです。客観視できるからこそ冷静に考えられる。

クロースアップの少なさは冷静に作品全体を、そして作品が伝えたい“テーマ”を導いてくれるのです。

 

④主人公、ターニャの最後の描き方

あらすじにも載っていますが、ターニャは死んでしまいます。その最期。静寂のなかで訪れる最期のシーンは圧巻です。

死へ向かう時間の経過をこれほどまでに美しく見せられるのか、と。

本当に思わず息を飲みます。この最期のシーンだけでも観て欲しいくらい…。このようにハリウッド映画とは線引きをして、日本の映画だからこそ描けるモノで勝負しているのが『さようなら』なのです。

◆19歳のわたしが思うこと

 

本作から私は「死は日常である」というテーマを感じ取りました。

私たち十代の世代はCGVFXがかなり発達していて、SF作品では宇宙戦争だったり、エイリアンの侵略だったりと、世界の破滅がスペクタクルで描かれていることに慣れています

だから、死を大きなものと捉えている。けれど世界の破滅や、人間の死というものは本来静かであり、身近に存在するものですよね。そんな“当たり前”のことを再び意識させられました。

当たり前って、忘れがちなのです…特に若者は。だけど当たり前のことだからこそ、それを指摘してくれる人も少ないんですよね。だから、この作品は私にとってありがたかった。

題材、役者の演技、そして映画の演出。作品の全てから導かれるのが“テーマ”です。テーマに正解はない。だって観た人、十人十色で作品の捉え方は違うから。皆さんはこの作品を観て、何を思うでしょうか。

 

◆リアルタイムで観る経験って大事なはず!

 

『さようなら』の劇場公開数は少ないですがアップリンクさんをはじめまだまだ全国で順次公開しております!

『さようなら』劇場情報

DVDを待つのもよいですが、映画館で観るからこそ感じられることもあると思うので、是非、劇場へ足を込んでください!!!

 

書いた人:木村 桃子

kimura

1996年東京生まれ。俳優だった父と演歌歌手だった母のもとでスクスクと成長。現在、日本大学 藝術学部 映画学科にて映画を学ぶ19歳。

主に映画理論や批評分野を専攻しながら、将来は“新しい映画の見方”の発掘を夢みる。作品分析の他にも、上映環境と作品の関係性についてなど日々考えを張り巡らせている。

趣味はアニメ鑑賞と映画祭巡り。三枚目キャラが際立っているアニメは大体すき。せっせと円盤を集めながら、都内を飛び出した各地の映画祭にも足を運んでいる。ただいま大学の友人と、映画史における重要作品のファンアート展示・企画展を計画、作品製作中。

「木村ちゃんって呼ばれると何だかとっても嬉しいです!」

木村桃子twitterアカウント

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