『マイ・ファニー・レディ』が全てにおいて“ちょうど良かった”のよ

2015年、それはそれは名作映画が豊作の年だった。

ボジョレー・ヌーボの何年に一度みたいなそれ去年も聞いたよ!というレベルじゃなくこんなに映画館に行くスケジュールを立てるのが楽しい一年はなかったよ。

もう去年末の話だが、そんな2015年12月30日に『マイ・ファニー・レディ』を観に行ったのよ。

news_thumb_20151120_myfunnylady

内容は、高級コールガールがある出会いからハリウッドスターになるきっかけの数日をドタバタな展開で見せていくという話。この映画の何がいいかというと、全てにおいて「ちょうどいい」のだ。

本作の監督は名作「ペーパームーン」のピーター・ボグダノヴィッチ。なんと10数年ぶりの新作!

まず映画の長さが「93分」でちょうどいい!映画を見るときに上映時間を気にしてしまう現代においてなんて手に取りやすい時間だろう。そして90分だからこそのスピード感があり終始ワクワク感を持続してくれるのだ。

次にちょうどいい下品感とちょうどいいオシャレ感!笑いの部分の大半が下ネタなのだがテレ朝の深夜ドラマぐらいのちょうどいい下ネタでカップルで見ても問題ないレベルだ。

そしてオシャレ感もアン・ハサウェイが出るような夢のような世界観でもないので上映後、お互いのパートナーにも自分の現状にもガッカリする事もないだろう。

pic02

ちょうどいい脚本。この映画の魅力として複雑な人間関係が・・と言われていたり映画館には本作の関係図が貼られていたが正直、ぜんぜん難しくない話だった。

むしろ、このあとこうなるのでは?と想像する方に話が進んでいくので気持ちいい展開だったしわからなかった人がいても「B5サイズの関係図を見れば理解できるちょうどよさ」がそこにはあった。

character

まぁ、そんな感じの映画ですがこの作品の本質は現代版シンデレラストーリーだと私は感じた。有名になりたい彼女は花屋さんで王子様が現れるのをただ待っているわけじゃなくてコールガールを選んだ。

夢のためにレッスンやオーディションを受けるにもお金が必要だし夢と並行して遊びや普段の生活にお金が必要だと考えているのにもすごく現代的だと感じた。

pic01

そして、そんな状況下で手っ取り早く大金を選べる仕事を選択したのがおとぎ話じゃなく、現実世界で起きている事として身近に感じるので突拍子な設定にも思えない。

そして映画の冒頭でいきなり登場する、ヒロインがコールガールしていた事をあっけらかんと告白するシーンは「夢のためにやって何が悪い」 というのを受け入れられる現代だからこそ、冒頭にいきなりあっても受け入れられるのだろう。

その光と影の人間臭さがこの映画の一番の魅力と感じ、93分間ずっと気持ちよく見れたのではないのかと思ったのだった。

そんなちょうどいい映画『マイ・ファニー・レディ』。映画みたいなぁって気分の日があったらご鑑賞あれ。なにより、一番最初の記事にするのにちょうどいい作品だった。期待を裏切らないと思う。

ではまた!

 

書いた人:佐藤カツミ

hat

思春期に見事なほど自意識をこじらせ

太宰、チャップリン、ロックンロールの気分で小説、映画、音楽をとにかく消費してすくすくと育つ。

近年、時計じかけのアレックスに憧れてハットを被っていたらハットさんと呼ばれるようになりました。

Related posts